大判例

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東京高等裁判所 昭和60年(ネ)1092号 判決

保全処分命令に対する異議は、保全処分申請につき判決手続による審理判断を求めるとともに、原決定の当否について審判を求める債務者の申立てであるところ、既に本案訴訟において被保全権利の不存在を理由とする債権者敗訴の判決が確定した場合には、債務者としては保全処分申請につきさらに判決手続による審理判断を求める利益を有しないというべきであり、また保全処分命令の暫定的、附随的性格に鑑み、その効力は右判決の確定によってその目的達成の不能が確定したものとして当然に消滅すると解されるから、形式上存在する保全処分命令の執行力の排除又は保全執行の取消しのために特に判決手続による右命令の失効を宣言する意味における取消しを必要とする場合を除き、原則として保全処分命令の取消しを求める利益もないというべきである。

しかるところ、本件仮処分決定の第1項はいわゆる任意の履行を期待する仮処分であり、第2項は本案の第一審判決の言渡しを終期とする賃金仮払いの満足的仮処分であり、現在又は将来において狭義の執行力が問題になる余地も保全執行の取消しの問題が生じる余地もないから、本件は前記のような例外的場合に当たらないものというべきである。

(森 高橋 清水)

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